雪、本好き、天体観測。
雪ちゃん*1に惚れたのがきっかけで天体について興味が出てきた。
もともと星座に興味はあったけれど、 今まで調べるのを先延ばしにしていたから、 ちょうど良い機会だと思って調べはじめた。
まずはネットで良さげな書籍をぐぐり、 その中からピックアップしたものを近隣の図書館で探しつつ、 ついでに本棚にあったのも借りてみた。
でも、正直まだ興奮してこない。 雪ちゃんのことを思い出してみても、 文字列を目で追って情報を処理していくのがめんどくさい。旦那失格だ。
仕方がないから、 天体を題材にした何か面白い作品ないかなーって調べたところ、
の名前があがっていた。
『宙のまにまに』は名前こそ見かけていたけど、なんとなく『 そらのおとしもの』とごっちゃになってた部分があって、 今まで敬遠していた。とりあえず観てみた。*2
――面白い。
爽やかに繰り広げられる恋愛模様がザ・青春って感じ。
とにかくね、メインヒロインの美星ちゃんが良い子なんですよー。
や、正直僕の苦手なタイプなんですけどね……。
でも、 嫌な印象を受けないよう、丁寧に描写されているのが好ましいし、 何より星への愛が素晴らしい!
僕は読書キャラが好きすぎて、 中途半端な読書描写を見るとイライラしてくるけども、 美星ちゃんの場合、星への愛がびしびし伝わってきて、 分野こそ違うけど親近感がもてるわけです!
それに、 主人公の朔くんの読書描写もまた丁寧でなおさら好きになる。
たとえば、一話で、ひとり主人公席に座って読書している朔くんに、まだ入学してからさほど経っていないからか、 前の座席のクラスメイトが話しかけてくる場面がある。
そのとき、朔くんは話を聞こうとするため、 読書を中断するのですが、その時の描写が素晴らしいのです!
読書を中断する時にもその人物の性格って表れると僕は思ってます 。栞を挟んだり、カバーを外して挟みなおしたり、 開いたまま机に伏せたり。
それなりに本を読む人なら無意識にやっていると思うんだけど、 ちょっとした時間中断するくらいなら、指を挟んでおく、 ということは比較的よくやることだと思う。
先の、カバーを利用するケースなら、 僕は基本的にカバーが擦れたり、変な折り目がついたりするから、 大切な本ではしたくない。
逆に、ラインを引くのが前提の書籍は、ペンを挟んだり、 カバーを挟んだりとよくやる。*3
そんなわけで、読書するキャラほど、 本の扱いに性格がにじみ出てくるので、 それが丁寧に描写されてる作品が好きだ。大好きだ。
それに本だけじゃない。 むしろ本棚の描き方にもこだわってほしいし、こだわっている。
たとえば定規で引いたような背表紙が出てくるとがっかりする。愛が足りないよ! そりゃあ本棚ってことさえ分かればいいのかもしれないけどさ!
でもさ、じゃあ手ってことがわかれば手はドラえもんのような手でもいいのかと!脚が二本で腕が二本ならそれで人間なのかと!もっと本にフェーチーれーよー!!!
きちんと描写されてる例もある。
オタクカルチャーを題材にした作品なんかだと、 レーベルや作品がわかるように描写されていたりして、 見ると思わずにやりとなるが、やはり、 僕は読書家の本棚を見てみたい。
要するに、 僕が圧倒されるレベルの描写が観たいのだ。
本に埋もれる程度ではテンプレだ。ちょっとしか萌えない。
しかし、一冊一冊、あたかも手に取って並べていったような、 こだわりある本棚はもはや藝術といっても過言ではない。
この時、僕が念頭に置いているのはアビ・ヴァールブルクだ。
ドイツの哲学者、エルンスト・ カッシーラーはヴァールブルクが財力に物を言わせて蒐集した私設図書館に訪れ、驚愕――いや、戦慄した。
というのも、その蔵書の並べ方は一見、不規則なようでいて、 その背表紙を眺めて歩いているだけで、文化史・ 美術史の知識が有機的に、 体系的に、自然と結びついていくような並べ方だというのだ。
それを一目見てわかるカッシーラーもすごいが、 蔵書の並べ方で自らの思想を表現してみせるなど、 常人では計り知れないほどの教養である。
しかもこれは、 フィクションによって描かれたキャラクターなどではなく、 実在する人物なのだ。いやはやなんとも恐ろしい……
さすがに、ここまでの知を描くことは難しくても、 本好きキャラクターが好きでなきゃ描けないような描写、 というものはいつか描きたい。そう思っている。
神は細部にこそ宿る――
気づかない人は生涯気づかないようなものであったとしても、 僕はその神にこうべを垂れるような同士に巡り合えたら、 と願わずにいられない。